第28章 / 第4幕末尾 · 約13秒
沈まなかった瓢
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第28章、第4幕。沈まなかった瓢。
仁徳の代の記事には、民の負担を免じた話だけでなく、水の流れを変える大きな仕事も並ぶ。『古事記』は茨田堤を築き、難波の堀江を掘って海へ通じさせたと記す。ここからは、同じ茨田堤について『日本書紀』が伝える話である。
堤には二か所、何度築いても水に崩される場所があった。王の夢に神が現れ、武蔵の強頸と河内の衫子を河の神にささげれば、堤は完成すると告げた。
強頸は泣き悲しみ、水に入って亡くなった。その場所は塞がったと記される。次は衫子の番だった。ところが衫子は、二つの丸い瓢を水に投げ入れ、神に呼びかけた。本当に自分が必要なら、この瓢を沈めてみせよ。沈まなければ、偽りの神だから自分の命は捨てない、と。
風が起こり、瓢は水に押されて離れたが、沈まなかった。衫子は死を免れ、その場所の堤も完成したという。
この結末を、人をささげたから堤ができた話だけにまとめることはできない。一人は命を失い、もう一人は神の要求そのものを試して、生き残った。
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